新型コロナウイルス感染症の対応について

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実績

A. 血液製剤使用量

赤血球製剤(RBC)は年により多少の変動はあるものの、2007年度以降月平均500単位前後で経過しております。新鮮凍結血漿(FFP)は2008年度以降使用量が大幅に減少し、2013年度以降は血漿交換療法による使用を除けば概ね月平均150単位弱で経過しております。凝固因子低下の補充を主目的とした製剤としてのFFPの使用方法に対する皆の正しい認識が浸透した結果と考えております。血小板製剤(PC)は主に造血幹細胞移植症例等血液内科の疾患の多寡による変動が目立ち、特に近年増加傾向ですがかねてより概ね使用量は安定しており、適正に使用されていると考えております。アルブミン製剤は2007年度からの記録になりますが、当初4000g程度消費していたものが経時的に漸減、近年は血漿交換療法(アルブミン置換)での使用を除けば月平均1000g前後まで減少いたしました。これも単なる低アルブミン血症の補正ではなく、科学的根拠に基づいた適正使用の認識が浸透した結果であるとともに、CART療法の導入や肝硬変の治療進歩に伴う消化器科での使用量の減少効果も寄与しているものと考えられます。グロブリン製剤は大半が自己免疫疾患に対するガンマグロブリン大量療法及び低ガンマグロブリン血症の補充に使用されており、重症感染症に使用される機会は非常に少なくなりました。(図1)

図1

 

B. 輸血管理料

輸血部運営委員会は以前より輸血に関する重要事項の院内周知に輸血レポートを使ってきましたが、特に2003年度から約3年間かけて血液製剤の適正使用を訴える輸血レポートを定期的に配布してきました。
新鮮凍結血漿及びアルブミン製剤については大量使用症例のモニタリングを行い、不適切な使用に対しては適宜指導を行っております。これらは不適切な投与の歯止めになっていると考えており、実際に近年は検討を要する症例数が目に見えて減少しております。
これら一連の啓蒙活動が血液製剤の有効利用への意識付けに働き、前述のような血液製剤の使用量の変化、特に下記(図2)に示す通り新鮮凍結血漿及びアルブミン製剤使用量の著明な減少として現れたものと考えられます。その成果として2010年度からは輸血管理料Ⅰが請求できるようになり、輸血管理料の指標となるFFP/RBC比、Alb/RBC比はその後も良好に管理されております。2014年10月から一時的に輸血管理料Ⅱに変更となりましたが、2018年11月以降は再度輸血管理料Ⅰを算定できております。

図2

 

C.廃棄血(期限切れ血・破損血)

中央部としての輸血部の設立により、期限切れを出さないという目的意識のもとに在庫管理を徹底したことに加えて、職員のコスト意識の高まりやタイプアンドスクリーンの広がりなどにより無駄に血液が廃棄されることが少なくなり、結果として廃棄血は2013年度以降着実に減少しております。特に期限切れの廃棄血は非常に少なく抑えられており、この数年はそれ以前と比べ隔世の感があります。ただ依然として破損による廃棄が目立つため、適宜血液製剤取り扱いの再教育等の取り組みを進めていきます。(図3)

図3

 

D.その他の活動

輸血部運営委員会では上記の活動の他、輸血副作用の登録状況及び分析、C/T比(クロスマッチ/輸血比)、ノークロス事例の検討、インシデントレポートの分析なども定例の業務として行っています。また、自己血の使用状況、分割血、フィブリン糊の作成、血球の洗浄など輸血部業務に関わる問題点の洗い出し等、輸血の運用に関わる諸問題の検討なども行ってきました。
輸血部が組織され輸血にかかわる業務がすべて輸血部に移行しても、輸血部運営委員会のような組織は必要であり、施設基準で求められている輸血療法委員会としての役割を担って存続してゆくものと考えています。

スタッフ紹介

血液免疫内科部副部長・輸血部長

竹岡 友晴

専門
血液学,免疫学,造血幹細胞移植
認定専門資格
日本血液学会認定血液専門医
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
近畿血液学地方会評議員
卒年
1994年

輸血管理課長

大濱 真伸

認定専門資格
認定輸血検査技師
細胞治療認定管理師
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