実績
A. 血液製剤消費量
赤血球製剤(RCC)は平成19年度以降月平均500単位弱で経過しておりますが、平成29年度は約530単位と増加しております。新鮮凍結血漿(FFP)は平成20年度以降漸減してきており、平成25年度以降は月平均150単位を割り込んでおりましたが、平成28年度は200単位と増加を示しました。然し、平成29年度は、再び160単位と減少に転じ、一時的な要因が考えられます。凝固因子製剤としてのFFPに対する認識が広まったと考えております。血小板製剤(PC)は平成21~25年度までは漸増したものの、平成26年度以降は月平均1100単位程度で経過しております。PCの適正使用が一般化した一方、PCの必要な患者数が増加してきているものと考えております。アルブミンは平成19年度からの記録になりますが、平成19年度には4000g程度消費していたものが、これも適正使用の意識が高まり、近年は月平均2000g前後で経過しており、特に平成28年度以降は1600g程度となっております。(図1)

図1
B. 輸血管理料
輸血部運営委員会は適宜、輸血に関する重要事項の院内周知に輸血レポートを使ってきましたが、平成15年度から約3年間かけて血液製剤の適正使用を訴える輸血レポートを定期的に配布してきました。おそらくその効果が上記のような血液製剤の使用変化として現れたものと考えられます。平成22年度からは輸血管理料Ⅰ、平成26年10月から輸血管理料Ⅱに変更となりましたが、平成30年11月以降は輸血管理料Ⅰを算定しております。(図2)

図2
C.廃棄血(期限切れ血・破損血)
血液製剤の適正使用に加えて、タイプアンドスクリーンの広がりなどにより血液が廃棄されることが少なくなり、結果として廃棄血は平成25年度以降、着実に減少しております。期限切れの廃棄血は非常に少なく抑えられており、特にこの4年ほどは隔世の感があります。(図3)

図3
D.輸血部運営委員会ではアルブミンの使用状況については、大量のアルブミン消費患者を中心に、更に詳細な検討を加えております。輸血副作用の登録状況及び分析、C/T比(クロスマッチ/輸血比)、ノークロス事例の検討、インシデントレポートの分析なども輸血部運営委員会の定例の業務であります。また、自己血の使用状況、分割血、フィブリン糊の作成、血球の洗浄など輸血部業務に関わる問題点の洗い出し、輸血の運用に関わる諸問題の検討などを行っております。