症例・治療
外来は、2診で行っています。神経疾患の診察には時間がかかるため、初診の待ち時間を減らす目的で、初診外来と再診外来(予約)を分けています。また、初診外来では地域連携室を通じての地域医療機関からの紹介システムも利用しています。
対象とする主な疾患
脳血管障害
脳卒中の中で脳梗塞や一過性脳虚血(TIA)の診療を脳神経内科が担当し、脳出血やくも膜下出血の診療を脳神経外科が担当しています。超急性期の脳梗塞の場合、発症4.5時間以内の適応症例については、rt-PAによる血栓溶解療法を行い、閉塞部位によっては脳神経外科で血管内治療も行います。当院では、脳卒中の治療に迅速に対応するために脳卒中当直(脳神経内科医あるいは脳神経外科医が常駐)を行っています。
認知症
認知症をきたす主な疾患としては、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症などがあります。また手術により改善が期待される正常圧水頭症や内科的な疾患である甲状腺機能低下症などもあります。アルツハイマー型認知症の頻度が高いですが、まずは認知症の原因を調べることが必要です。
神経変性疾患
当院は、滋賀県の難病医療拠点病院です。神経変性疾患には、パーキンソン病、多系統萎縮症、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症、大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺などがあります。頭部CT・MRI、DATスキャンやMIBG心筋シンチなどの検査を行います。
神経免疫疾患
神経免疫疾患には、多発性硬化症、視神経脊髄炎(NMOSD)、重症筋無力症などがあります。近年、多発性硬化症の治療の選択肢も増えてきましたが、個々の症例に最適な治療法を選択することが重要です。
神経感染症
脳炎や髄膜炎があります。検査としては、頭部の画像検査に加え、髄液検査を行います。かぜの症状がないのに、頭痛・発熱が続く場合やけいれん・意識障害などがみられる場合は、脳炎や髄膜炎の可能性も考える必要があります。
筋疾患
筋疾患には、多発性筋炎、ミオパチー、筋ジストロフィーなどがあります。筋疾患の場合は、筋力低下がおこり、血液検査で高CPK血症を認めることが多いです。検査としては、針筋電図を行い、確定診断のためには筋生検を行います。
末梢神経障害
多発ニューロパチー、ギラン・バレー症候群、CIDP(慢性炎症性脱髄性ニューロパチー)などがあります。神経伝導検査や神経生検を行って診断します。ギラン・バレー症候群に対しては免疫グロブリンの大量静注療法を行い良好な成績を得ています。ギラン・バレー症候群の中には、呼吸筋麻痺が生じ重篤化する場合もありますので注意が必要です。
てんかん
てんかんの患者さんは、主に外来で治療を行います。近年、抗てんかん薬の選択肢が増えました。けいれん発作が生じた場合は、入院で治療を行うこともあります。また、難治性のてんかんの場合、手術による治療が選択肢になる場合もあります。
頭痛
外来では、頭痛を主訴に受診される方が多いです。多くは緊張型頭痛、片頭痛や群発頭痛ですが、くも膜下出血など緊急に治療を要する場合もあります。強い頭痛や嘔吐、うとうとしてすぐに眠りだすなどいつもと違う頭痛の場合は、すぐに医療機関を受診して下さい。
実績
診療実績:2021年度(2021年4月1日~2022年3月31日)
外来のべ患者数: 12,866人
新規入院患者数: 750人(入院のべ患者数14,761人)